
21年前にれんたるおばさんは初めて自身のホームページを設けました。
個人の趣味のあれやこれやを日記にしていました。
まだブログという言葉が人々に認知されていなかった時代になります。
WEBは世界中に発信され、顔も見ぬ人とも簡単に交流が出来る。
私のホームページは、個人のものからやがてそれは商用に変わったのだが、ずっと変わらず、『書き込み』(コメント)をして下さる方の数がどんなに多くなっても、ひとつひとつ丁寧に返信をさせて頂いた。(まぁ、誰もが知っている著名人ではないので、多いとはいっても大した数ではない。)
商用になってからのホームページを見て、ある人がこう言った。
「まだビジネスにもなっていないのに(この場合は「まだクライアントになっていない人」ということを指す)何度も繰り返し、書き込みだけをする人など、そんなにまともに相手しなくてもいいのに!」
私はそれでも個人のホームページからずっと続けていることだし、いくら同じ人から何度も書き込みがあったとしても、相変わらずの姿勢で返信をしていた。
内容は、その商いとはあまり関係がないマリア・カラスの『ラ・プリマベーラ』についてのことであった。
そのサイトはアメリカのサーバーを使っていたし、英語での書き込みも多かった。
スタッフに製薬会社の法務で仕事をしている女性がいて、彼女は英語がバリバリできるので、私が作った英文の表現などがおかしい時、代わって『超・丁寧でエレガントでイケテる英作文』をして頂いた。
それを用いて『書き込み』をして下さった方にお返事をさせて頂いていたりもした。
内容は映画や写真、芸術、Top foodieと呼ばれる人達が集う飲食店のこと、海外の文化や歴史、政治のお話など等、多岐に渡った。
私はバカだが、賢い方々はバカを好むのか、アカデミックな人達でそのサイトは構築されていった。
書き込み、返信、書き込み、返信を数回繰り返し、バーチャルな世界だけにひたっていると思われる人であったとしても、私自身も楽しくお話させて頂いた。
それから半年から1年経過し、ようやくそのバーチャルの君とお会いすることが出来た。
名古屋から遠く離れた某所へとわざわざ私に会いに足を運んで下さったのだ。
私へのお土産は前出の『書き込み』で何度も繰り返しお話させて頂いたマリア・カラスの公演のビデオテープであった。(当時はビデオもまだ主流だった)
他にも海の向こうの方々が、年に数回定期的に私達が催すイベントに会いにいらして下さった。
今も元気があったら「続けていたらよかったかしら?」とは思うこともあるが、世間の人からみて簡単そうに見えるかもしれないそれはなかなかそう甘いビジネス(イベント)ではないのだ。
やはりこんなれんたるおばさんといえども(!)女性としては30~40才までがいろんな意味での分岐点でもあったので、そのステージを後に続く若い人たちに譲ったのである。
このところれんたるおばさんは体力も頑張りがきかなくなった。
商いというものは、お金があったら誰でもできる。
しかし、それを長く続けられるというのは容易ではない。
見かけも気力も自身の一番よい時・・・ピークといったらよいだろうか・・にそのビジネスから引退してよかったと、それは今でも思っている。
特に私は「ここでしかビジネスはしたくない!」というこだわりが強かったのだし、当時その地以外でのビジネス(イベントの開催)はいやだったのだ。
プロに厳しいが、それをきちんと受けとめると、必ず自分のものになり、パワーも身につく。
そんな場所だったのである。
そういえば私はよく知らない場所で商いをすることはありえない。
なぜならば例えば小さな飲食店を開いたとして、いきなりの発進はかなりのデンジャラスさを伴うのではないか?とからだ。
いくらインターネットが普及していても、開業までにある程度の根回し(この言葉は商いをする者にとっては、決してそう悪いものではない)が必要だからだ。
その土地、その土俵で慣わしが異なる。
自由な生き方をベースに仕事ができたらよいのだが、なかなか難しいですね。
好きな場所でのんびりと『その日暮らし』ができたらいいね。
群ようこさんの『かもめ食堂』の世界みたいにね。
話は脱線したが、私はそのビジネスから引退した翌日、「ああ、今日から働かなくていいんだ。」と思った時、なぜか安堵した自分もいた。
いろんなことがあったが、良い思い出である。
だからそういった前出のようなこだわりがなくなり、肩の力を抜いた現在の暮らしは、その時頑張った分のご褒美なのかもしれない。
ある人にお世話になった。
ずいぶんと。
その方は世の中で一般的にいわれる偉い人。
先生と呼ばれるような人である。
一緒に飛行機に乗った時、キャビンアテンダントが心配りをしてくれた。
仕事の資料を読んでいたその人は、顔を伏せたまま「ありがとう。」とお礼を言った。
だが、その数秒後、はっとし、「あ!いけない!きちんと顔を上げて相手の目を見て礼を言わなかった。僕ってまだまだだな。」とそのことに深く反省しておられた。
私は「この人、いい人だな。」と心から思った。
この年ともなると、人との関係も一期一会になることが多い。
だからこそ、人ときちんと向き合いたいなと思う。
次にいつ会えるかわからないから。
茶道の世界に学ぶ・・・。
本日はとりとめもないことをつらつらと綴ってしまいましたが、何かを感じて頂けたら幸いです☆
本日もご訪問誠に有難うございました。
最後までお読み頂きまして、心より感謝申し上げます。
皆様どうかご無事で素敵な一日をお過ごし下さいませ。